「薄紅」






淡い薄紅色の花弁が
大地を花の絨毯に変えていくさなか
胸に去来するものはーー


ねえ その瞳にはこの光景がどのように映っているの
切なく受け取ることも
華やかさに心奪われることもできる人の心だけど
君の考えていること
分かるような気がしたんだ


心の中にはなお
数十年前に咲き誇った桜が咲いているんだろ
君のことだ 決して忘れてなどいないはず
頭で覚えるのではなく
人は心で覚えているもの


記憶が消えても残ること
君は充分わかっている
心の中の満開の桜は
いつだって今この一瞬を輝く事を
その身をかけて教えてくれる


悲しみに浸る花なんかじゃない
希望そのものなんだ
言葉なしに訴えかける桜の声が
きっと君にも届いているよね


心にその声を留め
心のシャッターを押す
このひとときが明日という未来や
今この瞬間という未来を生きる活力となる
僕は忘れないよ ずっと