ジグザグに潜り抜けようとする

降り続ける牡丹雪の狭間を

目の前に広がる白の世界は

すべてに静寂を与えているから

降り落ちる一つ一つの雪の狭間を

視線で縫いあげながら

彼方を見つめようと思えた

その雪の一粒から

何かを受け取るように






世界を反射するような

艶めく白が映し出すものは

無情なほどに鏡のようで

はっきりと映し出す鏡ほど

優秀で切ないものはなくて






すべてを吸い取るようにして

白い雪は舞い降りたあと

何も語りはしないけど

その無言は世界を染める有言






雪の白さに憧れを覚えては

降り積もる様を高く見上げた

どんな世知辛い世の中でも

この雪の白さがどこかに存在するものなら

それはきっと目に見える場所

僕らのすぐ近くに広がる場所






透き通るような結晶越しに

この世界を見つめてみれば

案外見られないほどのものじゃなかった

目を伏せたまま歩く景色も

胸を張って歩く事ができたよ






ふわり、舞い降りる景色に

また景色が存在していて

結晶の中に宿る無限は

あんなに小さいのに

とてつもなく大きい






純白の痕のように残る足跡は

一人だけのものじゃなくて

僕と君の足跡が 時折重なりながら

道を形作っていたんだ

ねえ いつの日か

僕らがこうして通った道を

たどる誰かがいるのかな






耳に残るは 

雪をそっと踏みしめる足音