一石を投じれば 

その波紋は

水面に幾重にも広がっていった







人の心も同じ性質

悲しみだって 苦しみだって

伝わってしまうのが常のように

笑顔や 楽しい気持ちだって

確かに伝わるはず








揺らめく水面に映る月だけを見て

それが空に浮かぶ本物の月だと

考えてしまうようなことは

やめておきたいと思う







石を投げればその姿は

一瞬にして消えてしまうものだから








ただ 

それを幻影の姿だと

知っているのだとしたら

その淡い光を

見つめてみるのもいいかもしれない








心を止められるうちに

引き返す事も

心を止めない事と同じほどの

勇気というのなら







君の心のために

引き返してみるのも

またひとつの手








だってその引き返す道は

引き返しているように見えるだけで

ちゃんと前向いて

進んでいるものだから








無駄に見える遠回りも

何か満足できるための手応えへの

一番の近道へと繋がっている事の

いかに多いこと







儚さを強調するのは簡単

だけど僕らは






それでも生きていかなくちゃならない







それならもう

すべては幻想だと

強調するのはやめにして

足元を掘ってみればいい






ほら 意外と水脈は

近くにあったみたい

あと一掘りで

根源にたどり着くのなら

今諦める訳になんか

いかないでしょう







忍耐っていう 

聞きなれない言葉

今こそ復活させるべき時なんじゃないかって