今年もまた咲く金木犀の香りに

まだ夢から覚めずにいた頃の僕を重ねる






あの頃 眩しすぎた光は

今ではやけに愛おしくなった







このキンモクセイの

思い起こさせる記憶が

この先もっと

素晴らしいものになるようにと

そっと目を閉じて 

未来に祈った







僕の名前を呼ぶ声がする









これまで重ねた秋の記憶を

すべて塗り替えるような出来事を

たくさん迎えていきたいね




それはもちろん君の笑顔






刹那がもたらしたものは

何事も積み上げる事さえ

できなかった







悲しい記憶を自分のものにするって事は

そんなに甘いもんじゃなかったんだ







ねえ いつかよみがえる記憶が

微笑みを持って

こちらを振り返ってくれたりするのかな








今じゃまだ 涙の味ばかりだけれど








ねえ 信じてもいいかな

未来は輝いている事

それが幸福であるということ







辛い思いした人ほど

幸せになれる資格があるのなら

それにすべてを

賭けてみようと思うんだ





ぼくにはもう

それ以外

なにもないから







この想いをそっと

金木犀の香りにのせて







運ぶ