「vacillation」






雨音がやけに優しい
味方してくれているのは
空から流れ落ちる憂いだけのように思えて
こらえるように目を瞑った


壊したくても壊しきれないこの思いは
鏡を投げる寸前の躊躇(ちゅうちょ)


そのわずかな逡巡を重ね重ねていくうちに
目に悲しみを宿すようになった


何を言われても構わない
そんな思いを悲壮だとは呼ばせない


無性に一人になりたくなる瞬間
浮かぶ人がいれば俺は幸せ者
これまでどんな道を経てきたかなんて誰も知らない
ただ一睨みの閃光は作り物じゃなかった


癒しておくれよ
この孤独を
目を開けてなお一人でも
心の中に温かさ宿れば
微笑だけ浮かべて雨さえも抱ける