「水面の月」





どんなに立派な事を言っているように思えても

口先だけの観念の遊戯に過ぎないのならば

それは水面に映し出された月のよう

小石たったひとつ放つだけで

ゆらゆら揺れる波に変わるだけ



その消えゆく月は

いつまで待っても

天空の空高く誇る本物の月にはなれない

できる事といえば

ただ憧れるくらいで



的を得ない論議

見せかけだけの論争

そんなパフォーマンスだけの演技なんて

もううんざり



吐き捨ててやりたい



難しい言葉をこねくり回すだけで

尊敬のまなざしで見てもらえるという

憐れな勘違いは

破滅のカギ

そんな事も分からずに

大切に持ってる



軽蔑の目を向け

最後の断末魔への幕が開くのを見届けた後は

憐れなものたちだけが通る暗闇へと

彼らは踏み出すから



僕らは正反対の光あふれた道へと背を向け

せめてもの供養は

涙拭(ぬぐ)わない事だけ