「mute」





痛みを痛みと感じられない

悲しみを嘲笑をもって向かえる



そんなだから

心のどこかを欠落させたまま

ミュートを抜け出せない



もうすぐ壊れるよ



一度 奈落の底に突き落とされると

未来を見てしまう事もある



今の動きは氷と変わり

やがて日の光に溶け去っていくだけ



いくらあがいても

何もしていないのと

まるで同じ



泣き喚く事さえできない

炎の中への道が

行く手には広がるだけ

灰となっても許されはしない



謝罪の言葉も

響かせる事ができないまま

息絶えた彼は――



日常は今日もまた

変わらず動き始めていく