悲しい顔になってしまうんだよ
ふと思い出してしまってね
また振りきればそれで済むからという言葉も
本当は強がりで
悲しい顔を見せたくないのに
そんな君にだけ見せられる悲しみがあるんだと言ったら
君はどう思うんだろうか
会いたいわけでも 思いだしたいわけでもないのに
繰り返される追憶はきっと
人が二足歩行を始めてからの運命みたいなものだろう
今僕の心に痛く染みるのは
君に近い声や言葉や仕草や色々
顔をしかめてみた所で
何も変わりはしないんだろう
この心の痛みは
自分が自分であるが故の痛み
僕はそれを受け止めてみようと思う
こんなにも苦しいのに
あまり泣かずにいられては今はもう――
倒れる事も傷が浮かび上がる事も
外傷も一つもないという事は
もう少し生きてもいいという事なんじゃないかと
それにしてもいつも不思議に思う事がある
どんなに心が痛んでも
それが傷となって直接出る事はない
どうしてだろう、と
だから人は 表に現われ出ないそれを
表現したいだけなんじゃないだろうかって
そんな一抹の思いが
この心をよぎってばかりいる