「Full throttle」





エンジンが焼けつくように
わざとフルスロットルにしていたあの頃
いっそ火を吹いてくれれば助かるとさえ思い
怒り狂っていた


現実はそうして発散する事も許さず
暴走する代わりに本を貪(むさぼ)り読んだ
というより 貪っていた


正気と狂気の狭間で
溢れてくるのは悔しさと涙と怒りだけ
その三元素だけで できていた
あの頃の僕の体は


いっそ気を失ってしまえ
倒れてしまえとさえ思っていた
焼き切れてしまった方が
どんなに楽だったか


それでも こときれる事もなく
狂う寸前でいつも引き戻される


もう諦める事も 諦めない事も
絶望も 希望も
一度死んだ僕には同じだったから


「諦めない事」と「希望」を選んだ
たったそれだけ