水に沈んでゆく指輪は
解放を意味する
その様子が見えなくなった後でも
想像するだけで 美しすぎた
息をするように
へばりついた泡(あぶく)が
一つ また一つと
上へとのぼっていく
託され 背負う重みを
取り外していくように
きらきらと輝き
それは記憶を象徴するよう
美しいのに
彼方でしかない記憶
その姿に感じるのは
髪をなびかせる風にさえ
沈みゆく指輪は敵わない現実
飛ばされそうになる
帽子をおさえながら
反対へと歩く