その絨毯を踏みしめたからには

その栄光と引き換えに

自分自身に立ち向かう事から

逃げることはできない




その事を知って

その場所に立っているのだろうか

それとも立ちつくしている

ただそれだけに過ぎないのだろうか

そうやって笑顔でいられるのも

あと一秒間だけ




それを知って君が笑っているのなら

安心できるっていうのにね

幻想の犠牲者がまた一人増えた




赤い絨毯から始まる悲劇の

いかに多いことか

その事を知って

少なくともその絨毯の上に

立つ事ができていたなら

その思いとは裏腹に

また力という現実に

塗りつぶされる人の生命を見る




でも現実を嘆いているばかりじゃ

いつまで経っても何も変わりはしないから 

すぐにその涙を振り払って

伝え続ける

君の欲しがって手に入れた

外にある栄光は

君を満たすような顔して

何一つ君を満たしてなんかくれないと




それを聞き入れる強さが

その鼓動はもち合わせている事

君が君自身を知っていると

知らされた瞬間

嬉しくて 涙が出た




君は「揺らぐ自分を知っているから

決して力に飲み込まれたりしない」と

誰に言うでもなく口にしていた




まるで過去の悲しみを

振り払うかのように