一人きりの煤けた赤の廊下

足音が響く





孤独の音






立派な身なり

それがひときわ孤独を引きたてるのは

悲しみの青のせい





背中から滲み出る

悲しみの青のせい






一歩一歩 絶望へと近づくその足音は

カツ、カツ、カツ、と

無機質な響きを 淡々と

ただ残酷に鳴らして行った







ふと足を止めて

一人振り返ったのは

誰かの声が聞こえた気がしたから?






でもそこには

だれもなく

振り返った視線の先には

幻想さえも見えなかった…








また前を見て歩きだす

一歩、二歩…





また動きが止まる






震える背中は 涙を意味していた

孤独の反対語への道程じゃないことに

気付いたからなのか





それとも

いたたまれぬ寂しさからくるものなのか

それは分からない






やがて行きつく扉の向こうにあるものは

禍々しいそれだと知ってか知らずか





また彼は歩きだした





ただ歩き続けた

たとえ 骸(むくろ)になろうとも










今いえることは

ただ一つの最大の間違いを

犯したということ