すべてを知ったふりして
すべての事を知らないままで
それでもその勘違いを続けては
小さく自分の誇張をやめない
気付いていないのは
その身自体 それのみ
写真のように その場その場を
切り取って並べてみるほどに
ああ 目もあてられない
間違えてうっかり
踏みつぶしてしまいそうなほど
小さな粒を
顕微鏡で眺めているような
そんな手間
もう必要ない
なぜ中身が空っぽな物って
手を上げて素直に
自己申告できないのだろう
もう後戻りが
できないところまで行った後
引き返せないと
悟った瞬間
破滅へと自棄(やけ)になり
走りだす
その捨て身ができるのなら
正反対のために飛びこめばいいのに
それだけ幻が
幻それ自身に騙されたきり
未だ夢から覚める事さえ
できないまま
揺りうごかされても
なお眠りに落ちつづける
行くあてもなく彷徨い
知らず知らずのうちに
辿りついた地は
うち崩れそうな
絶望の淵