あ
自分を隠すこと
それがいつの間にか当たり前になりすぎて
苦痛でさえなくなっていたんだ
この欠落と引き換えに得たものとは――
そんな事にふと思いめぐらす
見つけた答えは
君を見つめて君を生きられる
君さえもまだ気付いていない君に
気付いてしまうということ
本人よりも本人のことを
知ってしまうこと
それは鏡の宿命とはいえ
時に悲しすぎて
思いもよらぬ結末を生む事さえあるから
それに耐えられたのも
最高の手本に出会えたから
鏡は強く美しいものに向ければ
それを映しだすもの
その固定が僕をいつも守ってくれていた
この場を立ち去ったものたちは
秋の木の葉のように舞い
怖くて逃げていった
僕に向かう時
君は鏡に向かう
ひたすら逃げるのも
顔を背けながら立ち向かうのも
それは自由だ――