悲しみは常に押し寄せてくるもの

でも それを言い訳にして

足を止める事だけはしたくない




どんなに切ない結論に達したとしても

自分の道を走り抜き通す事が

与えられた「なにか」っていうもの




人の悲しみの上に何かを築き上げても

必ず粉々に砕け散るものだから

その事を分かっているからこそ

そうやってしか進む事の出来ない

憂いばかりの道を 

犠牲にしてでも

踏み越えてでも

突き進まなきゃいけない





だって あの道は

まさに人の不幸の上に

自分自身の快楽をつくろうとしてる

そうでしょう?




こうなったらもう

ためらいもてらいもなく

踏み越えて行くしかないよね




あれほどの決定打を見せつけられたから

今はもう

逡巡は毛筋ほども存在しない

ただ 哀れだという思いだけが

心に小さく疼くだけ




悲しみを利用するだけ利用して

魂を売り渡した姿は

見るに堪えない残骸

ねえ そうしていると楽しいの?




生きながら死してしまうという話は

物語の中だけの話じゃなかった

本の中だけで本当は充分だったのに……




その現実を見せつけられて

悲しいというよりか

自分自身は自分が思うよりも

光に溢れている

その事を知ることができた 

そう言った方が正しいのかもしれない




反面教師ってきっと

この事を言うのだろう




優越感とも違う 

この前を見続けようとするこの眼は 

残酷な現実を見つめたせいで

大したことでは今では動じない




闇から逃げずに見つめてみても

光を失う事のないこの眼は

残酷な現実を 受け止めた 

きっとそういうことなんだろう