天使の白い羽が覆っていたのは

漆黒の翼という名の虚夢(きょむ)







すべてがいやになって

その羽をむしったのは

誰でもなく君自身の手







嘘に嘘を重ねるうちに

どちらが本物の羽か

自分でも分からなくなっていったのは

決まりきった結末だったのかもしれない







堕天使にもなりきれず

天使でも悪魔でもない君が

守りたかった姿は一体なに?







華麗なる変身だと自慢げに頷いているうちに

純粋な悪魔の姿を見せた隙は

もう取り消すことなんてできない








もう後戻りはできないんだよ









本性の姿のまま開き直った態度は

さながら崩落の様相をすでに示している







崩れ落ちる城の中で

まだその場所に

まるで縋っているような姿の頬には






敗北の涙が







その涙が伝うのを最後の合図のようにして

城の最後の瓦礫が落下した







裏切りは裏切りとしてその身に返り

誰彼からも裏切られ続けた末に

一人崩れゆく城に入っていったのだった…







堕天使の王が迎えた最期は

高笑いさえもない冷たい孤独だけを

引き連れていた







虚飾の王が結局持っていけたものは

人として生きていた頃と同じ孤独










…変わらない孤独









弱虫すぎて

孤独を見つめられなかった悪魔は

また孤独に立ち向かえなかった…