「秋風(あきかぜ)」







風が秋を告げる
紅葉(こうよう)もやがて輝く事だろう


少し涼しげなこの風は
君に何を思い出させるのかな


僕の心によぎるのは
あまり思い出したくないこと


でも 時が経つにつれて
直後のように鮮烈なものは
少しずつ取れていってしまったような気がする


それでいいのかどうか
僕は迷うけれど


あの頃は時で癒えるものなど
何一つないと言いきっていたというのにね


だけど忘れたわけじゃない
忘れてなくても生きていかなくちゃならない


泣きながらでもいいから
足を動かせと自分に命じたあの日
何一つ持っていなかった
だけど今の僕にはたくさんのものがある


他の人から見れば
小さくて些細なものに見えるだろうけど


僕にとってはたくさんのもの
目に見えるものから 見えないものまで
ちゃんと心で呼吸している


脈打って 息づいて
働きかけてくれている


僕はもう あの頃の僕じゃない
君もずいぶん強くなった


泣いていた僕らが今立ち上がる
新たな時を刻み始める


全ての前例は
今 砕(くだ)けた