にぎり返すには温かすぎて
触れてみるには温かすぎて
ただ近づくのさえ ためらうほど
暖かいその手は
僕には温かすぎる気がして
不意に距離をとっていたのは
泣いてしまいそうになるから
涙を見せる事は 簡単だけど
それを一度してしまったら
後戻りなんてできない気がして
ひとりでに走り出してしまう事を
何より怖がっていたのは
君よりも僕の方だったのかもしれない
熱い涙が頬を伝うのは
その優しさに触れたせい
認めるだとか 認められるだとか
気にしていないフリをしていたはずなのに
存在が認められた瞬間
こんなにも嬉しいのは
君だから
繰り返しの日々さえ
めずらしいものに感じられる気がしていた
涙の意味も 悲しみの意味も
何もないように思えたあの日々に
色んな事を得られた気がするよ
ほら だってこんなにもこの景色きれい
どうにでもなれと
投げやりに何度なっても
歩き続けていたのは
きっと自分のどこかで
知っていたからなんだろう
この光を
このままうずくまってしまいたいと
すべてが嫌になった気がしても
誰より諦めていなかったのは
君よりも僕自身だったのかもしれない
凍えてみて初めて
小さな温もりを
見つけられるようになったのなら
それは間違いなく
無駄なんかじゃなかったということ
本当の温もりなんて
一度凍えてみないと分かるはずもなくて
温もりから温もりへと移行しても
ホントの所は感じられっこない
思わず泣き出しても
こらえきれなくなっても
その込み上げる感情が
今を創りあげているのなら
誰にも盗めないその激情を武器に
言葉として使い続けてみればいい
その時きっと言葉は初めて
どんなものより強くいられるのだろう