雪の結晶が手の上でほどける頃

あわただしい街は

いったい何を伝えてくれるかな






少し足を止めて心の中に耳を澄ませば

静寂と真実が広がるというのに

その喧騒がすべてだと鵜呑みにしたままで

行き先もなく歩き続ける横断歩道の上








そんな様子をものともせずに

雪は自分の時間の中で

ゆっくりと舞い降りてくる







自分の時間だけ抱きしめて

深々と降り積もる雪達は

こんなにも静かなのに

こんなにも力強くて







本物の強さを僕達は

この雪から学ぶべきなのだろう








雪は自らを主張せずとも

まっすぐな気持ちで地上にやってきて

いずれ溶けてしまう事を

決して悲観などしない








勝手に刹那を雪に重ね合わせているのは

ただ私達が決め付けているだけで

本人にとってそれは

何の意味もなさないほどちっぽけなもの








この季節だけやって来るけど

いつも変わらず悲観などせず

溶けた後もなお降り積もり

来年も変わらずやってくる








世界のどこかで いつでも舞い降りては

冷たい自らの温度で人々の心を温かくする









どんなに大きな町だって

雪化粧に変えてしまう

あんなに小さな一粒だって

町を丸ごと芸術に変えてしまう雪に

僕達は学ばなくちゃならない