降りしきる紅葉が地を紅く濡らす
秋の終わりを告げるその姿は
寂しくなんてないから
来年またおいで、と
会釈交わした
切なさをなぐさめる黄は銀杏
ひとひらを拾っては
その素朴な美しさを
心から伝えたい人がいない事に気付き
嘆きそうになった
その嘆きを喉元で食い止めては
その葉を読んでいた本に
しおり代わりにそっと挿んだ
いつの日か
この銀杏の葉が色あせた頃
再び手に取りながら
微笑みの涙 流す事の出来るようにと
願いを込めて
今日こうして心から流れる悲しみは
どこの国からやってきたのだろう
この体がその悲しみがすべて消えた瞬間
意味をなさないものになったとしても
いつの日か この涙尽きるように
今日も終わりかけの紅葉を歩く
指をくわえて見つめることが
つとめだった僕も
こうしてすっかり自分で歩けるようになった
今度木々達が白い雪を抱きしめるまでに
僕には何ができるかな
少し立ち止まって考える
未来に一つでも多くの楽しい笑い声に
出会う事のできるようにと
涙と同じぐらいに世界の笑顔に
心傾けるんだ
秋の景色の中
瞼の裏に描くようにして