傘をささずに今はただ

降りしきる雨に打たれていたい

この雨の下なら

どんなに泣いていても

気付かれることはないだろうから









この音のもとなら

どんなに声を上げても

聞かれずに済むだろうから









そう この悲しみをいちばん見せるべき

愛する君にだけには

本当は見られたくなかった……









拭えるはずもないほど

次から次へと溢れる涙

君がその手でそっと拭った瞬間

涙は止まらないままのはずなのに

心に光差したの











雨がまだ降りしきるけど

たとえ永遠に雨が止むことがなくても

生きていけると思った

それは陽だまりも

負けてしまうぐらいの優しさに触れたから











その瞬間 決めた

この涙 一生君に捧ぐと

これぐらいしか僕は持っていないから

精一杯の気持ちを

この手で差しだしたんだ











その時見せた君のひとひらの涙

ひらり とても綺麗で

僕まで泣きそうになる

君は僕の為に泣いてくれたというの?

頷く君のこの手握る手 とても強くて

気が遠くなりそうだった












まだ止まない雨 立ちすくむ二人

僕の涙を君が浴びてくれているのなら

君の涙に僕は濡れよう

誰かのために涙することを

心から知った気がした冬の夜

空はただ僕らの味方でしかなかった









もう 

どんな痛みや

苦しみも

悲しみも









怖くはないの